広報メディア学科トップページ > 教員・ゼミ紹介 > 河井孝仁
笠原一哉 Kazuya Kasahara 講師
「二極化」時代のメディア・リテラシー
 
新聞の「二極化現象」を指摘する声が近年、高まっています。国の安全保障政策やエネルギー・原子力政策について、朝日新聞や毎日新聞が論調の一つのグループをつくり、読売新聞や産経新聞がもう一方のグループを形成して対立している状況を指摘したものです。私たち情報の受け手には、心地良い情報だけを妄信するのではなく、社会全体の議論の中に自分の考えを位置づけ、問い直し続けることが、これまで以上に求められていると言えるでしょう。市民一人ひとりが主体的・積極的に社会に関わっていくために、マス・メディアが発する情報とどのように付き合っていけばいいのか、そしてマス・メディアはどのような役割を果たすべきなのか。そんな問題意識をもって研究を進めています。

プロフィール

学位: 政治学修士
専門テーマ: 安全保障政策とメディア
専門分野: メディア史、ジャーナリズム論、メディア・リテラシー論
最終学歴: 早稲田大学大学院政治学研究科修士課程
所属学会: 日本マス・コミュニケーション学会、メディア史研究会、日本NIE学会など
研究キーワード: メディア、歴史、公共性
主な論文・著書:
「メディア・フレーム構築過程の分析―1990年代における読売・朝日の憲法提言を事例に」『四天王寺大学紀要』60号、2015年
「マス・メディア論」大関雅弘編著『現代社会への多様な眼差し』晃洋書房、2017年
「主権者教育における政治的中立の確保に関する一考察―学校教育における新聞活用の課題を考える―」『四天王寺大学紀要』63号、2017年

研究テーマについて

社会性

安全保障政策とジャーナリズム

戦後日本の新聞は、国家の戦争遂行に加担したことへの反省から出発し、自衛隊と米軍の関係について「権力の監視」という立場から厳しい視線を注いできました。しかし湾岸危機/戦争を一つのきっかけとして、こうした姿勢に対し「批判ばかりで代案がない」という声が新聞の内外から高まり、これが今日の「二極化」現象につながっています。「戦争と平和」「日本とアメリカ」に関する世論/輿論を新聞というメディアがどのように表象してきたのか、安全保障政策に関する社説や報道を分析することで読み解きたいと考えています。とかく感情的な対立につながりやすいテーマですが、生産的な議論の土俵をメディア史という立場から社会に提供できないか、模索しています。
研究の特異性

「かくあるべき」以外の視点から

憲法9条や安全保障政策とジャーナリズム、というテーマでは「ジャーナリズムはかくあるべき」といった規範論で語られることが多いのですが、私はむしろそうした言説を成立させている歴史的な文脈を分析することの方に関心があります。例えば読売新聞が1994年11月に発表した「憲法改正試案」に対して、ジャーナリズム規範の立場から強い批判が起こりましたが、作成の経緯について分析した研究はこれまでありませんでした。
研究の楽しさ

現場の疑問を史的に研究

私は新聞記者として約7年間勤務していました。その過程で、権力とジャーナリズムの関係や、特ダネ追求にみられるセンセーショナリズムなど、様々な疑問が膨らんでいきましたが、日々の仕事に追われ、考えを深めることはできませんでした。いま、現場の経験を踏まえながら歴史的な視点でジャーナリズムの在り方を研究できることに、大きな喜びを感じています。

ゼミ・教育について

ゼミの教育姿勢

「伝える」喜びを知り、新聞をもっと楽しむ

ジャーナリズムの醍醐味の一つは、現場に直接足を運んで話を聞くことで予想もしなかった事実を発掘することにあり、こうした実践を通じて新聞記事の読み解き方も深まります。そこで私のゼミでは、取材から原稿執筆までを学生に経験してもらい、@テーマの選定や事前準備を通じて問題意識を深める、A取材で得られた情報を正確に記録する、B取材内容を正確かつ読みやすい文章にまとめる、という過程の中で、ジャーナリズムを実践するための具体的方法を学びます。
学生
ゼミも含め、私の担当する授業はいずれも広報メディア学科の専攻科目ではなく、「ジャーナリズム副専攻」の科目となっています。「副専攻」とは東海大学独自の制度で、指定された授業科目群から決められた単位数を修得すると、主専攻とは別に副専攻として修了認定される、というものです。全学部の学生が履修できるため、ゼミにも様々な学部・学科からジャーナリズムに関心を持つ学生が集まり、密度の濃い議論を楽しんでいます。
卒業研究テーマ
副専攻科目のため卒業研究はありません。2018年度春学期の取材実践では、学生は「かつて秦野で走っていた軽便鉄道を語り継ぐ人たち」「東海大学前駅周辺で相次ぐ書店撤退の影響」「留学生のアルバイト事情」などをテーマに選び、それぞれ優れた記事にまとめました。
ゼミの魅力
メディアの発信する情報を読み解き積極的に活用していく能力、そして知り得た情報を取捨選択し受け手にとって意味のある形で発信できる能力は今後、どのような進路を選ぶにせよ、とても大切になってきます。取材実践を通じて、情報の受け手・送り手両面のスキルを高めましょう。
その他一言
私たちはマス・メディアの情報を通じて、見知らぬ人の喜びや悲しみや怒りを共有することができます。また、社会の抱える課題を知り、その解決策を共に考え、選択することができます。私たちの社会に不可欠なマス・メディアの在り方を、一緒に考えませんか。

入学をお考えの皆様に向けて

広報メディア学科の魅力の一つは、多様な経歴を持つ教員が、プロジェクト活動を含めた質の高い教育を提供している点にあります。私自身、もう一度学生に戻って各先生のもとでじっくり学べたら、といつも思っています。
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